便秘とは
便秘とは、排便が困難で、排便回数が減少し、または便が硬く、排便が痛い状態のことを指します。
便秘を考える症状
- 自然な排便が週3回未満
- 排便時強くいきむ
- 便がコロコロ
- 排便後もすっきりしない(残便感)
- 直腸、肛門の詰まった感じがあり排便困難を感じる
- 排便時に摘便や会陰部圧迫が必要
上記の症状がある場合便秘を考えましょう。
便秘の原因と種類
便秘は腸に何らかの病気(腫瘍、炎症など)があるために起こる「器質的便秘」と腸の動きがおかしくなって起こる「機能性便秘」に分けられます。
機能性便秘は生活習慣改善で良くなりますが、器質的便秘は医療機関での検査が必要であり、自然に改善することはありません。
機能性便秘なのか、器質的便秘なのかは自分で判断することは危険です。医療機関にご相談ください。
筋肉量不足、ミトコンドリア機能低下
腸は筋肉で動いています。また動くには細胞内器官であるミトコンドリアで作られるATPというエネルギー物質が足りないと腸が動きません。腸の筋肉量は全身の筋肉量に比例します。便秘が痩せ型の元気のない人に多いのはこのためです。
神経の調節障害
脳腸相関と言われ、脳と腸は密接なやりとりをしていて繊細な神経のコントロールを受けています。慢性的なストレスや無理に排便を我慢したりしていると、この脳腸相関がうまくいかなくなり生理的な排便が行われなくなります。これは睡眠不足や運動不足、不規則な食生活といった生活習慣の乱れからも起こります。
腸の病気
腸の炎症やがんなど、腸そのものに起こる病気が原因となって便秘になります。
腸以外の病気
パーキンソン病や甲状腺機能低下症などが有名ですが神経や代謝の病気が原因で便秘が起こります。
認知症なども脳の機能低下で便秘になることが多いと言われています。
その他
薬の副作用、腸の蠕動運動が低下するような薬剤を使用していると便秘になることがあります。カルシウム拮抗薬と言われる高血圧の薬や抗うつ剤が有名です。
便秘はなぜいけないのか
排便は身体に不要なものを便として体外へ排泄することです。便秘は身体にゴミを溜めているようなものです。また悪性細菌も増えてしまい健康被害が出てしまいます。ただすっきり便が出ないというだけでは済まされないのです。
あなたのうんちはどんなうんち? 理想的な排便とは?
便の形は図の如く分類されています。
Type4が理想的な便で概ね3から5の範囲に入っていればいいと思います。
便の回数は1日1~2回が理想的です。
便秘を起こす病気
便秘を症状とする病気はたくさんあります。
- うつ病、パーキンソン病、認知症などの脳神経疾患
- 甲状腺機能低下症・副甲状腺機能亢進症、副腎腫瘍などのホルモン疾患
- ポリープ、がんなどの消化管の腫瘍
- 低カリウム血症などの代謝疾患
- 子宮、卵巣の疾患
- 椎間板ヘルニアなどの整形外科疾患
便秘の検査
腹部レントゲン検査
便の残り具合や異常なガスなどを把握する検査です。ポリープやがん、炎症などはわかりません。
便秘の治療
便秘の原因によって異なりますが、共通して
- 食事改善
- 腸内環境改善
プロバイオティク
腸に有用なビフィズス菌や乳酸菌を食事や薬、サプリメントで摂取することです。
プレバイオティクス
腸内善玉菌を増やす栄養素や食物繊維を摂取することです。
シンバイオティクス
プロバイオティクス+プレバイオティクスをシンバイオティクスと言います。
生活習慣改善
食習慣の改善、睡眠の改善、運動 - 薬物治療
①プロバイオティクス製剤
ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌の薬を内服します。
②緩下剤
酸化マグネシウム(マグミット®︎、酸化マグネシウムなど)
酸化マグネシウムは腸より水分を引き出し、便が固くなるのを防ぎます。便秘治療で最も基本てきな薬剤です。
ポリエチレングリコール製剤(モビコール®︎)
腸管内の水分量を増加させ、便が軟化、便容積が増大することで、生理的に大腸の蠕動運動が活発化し、排便が促されること を期待した薬剤です。
③腸管上皮機能変容薬(アミティーザ®︎、リンゼス®︎、グーフィス®︎)
腸粘膜上皮の機能を変えることによって便秘を治療する近年開発された薬です。