
リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)
古代ギリシャのピポクラテスは「全ての病気は腸から始まる」と言いました。
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現代では「全ての病気はリーキーガットから始まる」と言い変えられると思います。
リーキーガットとは?
腸には
・体に必要なものを吸収する。
・体に不要なもの、毒性のあるものは吸収しない。
という2つの働きがあります
腸は異物を血液中に侵入させないために隣同士の細胞がホチキスのようなタンパク質でしっかりと密着しています。このホチキスのことをタイトジャンクションと呼びます。
タイトジャンクションが緩み、細胞同士の隙間が大きく開いてしまうとどのようなことが起きるでしょう?
異物が腸の壁をすり抜けて血液中に侵入してしまいます。
このように腸の粘膜の隙間が開いて異物が侵入してしまう状態を俗にリーキーガットと呼んでいます。
(正式には腸管粘膜の透過性の亢進といいますがこれだとなんのことだかよくわかりませんよね)
異物が侵入すると何が起こる?
異物が侵入すると異物を排除しようと免疫細胞がやってきます。異物を排除するために免疫細胞が戦うことを「炎症」と呼びます。炎症には「兵隊が肉弾戦で異物と戦う」場合と「遠くからミサイルを発射して敵も味方も吹っ飛ばしてしまう」場合の2つのパターンがあります。
ミサイル攻撃の場合は血液の流れに乗ってミサイルが遠くへ運ばれてしまうことがあり、関係のない臓器や細胞が「流れ弾」に当たりそこでも「炎症」が起こります。
また、うまいこと免疫をすり抜けた異物はどこかで捕まります。するとその場所でまた「炎症」が起こるわけです。
炎症が起きやすいのは血管の内側(血管内皮といいます)、肝臓、皮膚、脳、気道や肺の粘膜などです。これらの場所も腸と同様にある部分とある部分を分ける境界であり、異物を侵入させない働きをしています。
これらの境界に炎症が起こるとどうなりますか?
血管内皮に炎症➡︎動脈硬化
皮膚に炎症➡︎アトピー性皮膚炎
気道粘膜に炎症➡︎喘息
脳に炎症➡︎認知症、子供なら発達障害
肝臓に炎症➡︎脂肪肝
その他
うつなどのメンタル不調
甲状腺疾患
リウマチなどの自己免疫病
潰瘍性大腸炎
やせ、肥満などなど
どうでしょう?
腸の隙間が緩くなるだけでこんなにいろいろな病気に繋がっていくのです。
ですから病気の治療には腸のメンテナンスが欠かせない。というか腸を治さないと本当の意味で治療が進まないのです。
なぜリーキーガットになるのか?
腸のバリアは3つあります。
第1のバリアは腸の善玉菌。善玉菌は悪性細菌やウイルス、カビの増殖を防いでくれています。
第2のバリアは粘膜から出される粘液。物理てきに異物を粘膜に近付けないようにし、粘液中にIgA抗体を産生し悪玉菌やウイルスから身を守っています。
そして第3のバリア、最後の砦が粘膜の隣あった細胞どうしの固い繋がりであるタイトジャンクションです。
この3つのバリアが異物から身を守っています。
これらのバリアは以下の原因で弱っていきます。
・腸の善玉菌が減る
食事(砂糖や食品添加物など)、カフェイン、アルコールなどの嗜好品、抗生物質などの薬、慢性のストレスなど。
・粘液が減ってしまう
栄養不足(おもにタンパク、ビタミン、ミネラル不足)や乳化剤などの食品添加物。
・タイトジャンクションを緩めてしまう
小麦のグルテンや牛乳のカゼイン、悪性細菌やカビなど。
どうです、普段当たり前のように摂取しているものばかりですよね。。
よくならない不調にはリーキーガットが潜んでいる
慢性の疲労、気分の落ち込み、不眠、イライラ、月経不順、原因不明の体の痛み、アレルギー、膠原病、こどもの発達障害など今の医学でもなかなか解決しない不調で悩んでいる方はたくさんいます。
それぞれ対症療法として抗うつ剤や安定剤、ホルモン剤や鎮痛薬などを長期に服用していると思います。でもよくならず困っている人が多いですよね?
リーキーガットの検査
個人的な印象としては人は多かれ少なかれリーキーガットになっていると思います。ですので元気な人があえて検査をする必要はありませんが、お悩みのある方は一度検査をしてみることをお勧めします。
数種類の検査がありますが、当院では遅延型フードアレルギー検査をお勧めしています。
リーキーガットの治療
リーキーガットを引き起こす前述した原因(食事や生活習慣、ストレス)を除去していくことから始めます。次に腸の粘膜を再生するために必要な栄養素の摂取(おもにサプリメント)やプロバイオティクス(良い菌を摂取すること)、プレバイオティクス(良い菌を増やす栄養素を摂ること)、悪性細菌やカンジダに対する除菌治療などを行うことで治療を進めていきます。
最後に
近年ブームの腸活ですが、意識高い人だけがするものではないことがお分かりだと思います。当院に通院している便通が悪くなく、お腹で困っていない人まで全員にやっていただきたいと願っています。
また腸活でお困りの方は気軽にご相談ください。
※リーキーガットは内視鏡検査等では診断できません。保険適用のある薬もありませんので自費での診療となります。