
院長です。
私はお酒が好きです。
そして毎日お酒を飲みます。
患者さんたちにはお酒を控えましょうと常々指導しているにもかかわらずです。
でも医師として持てる知識をフル動員してお酒と付き合っています。
今回はアルコールと健康に関して私見をお話ししたいと思います。
押さえておくべきアルコールの知識
◆やっぱりアルコールは毒である
残念ながら・・・、アルコールは体にとって「毒」なんです。お酒にも効能があるという意見も否定はしませんが、やはり飲まないに越したことはありません。アルコールは体内に入ると肝臓や筋肉が「全力」で解毒をします。
◆アルコールが影響する体内システム
・消化管
粘液の分泌が減り「バリア機能」が低下します。
消化力、吸収力が低下し栄養障害の原因になります。
腸内細菌のバランスを崩し、毒素を出す悪玉菌が増えます。
・肝臓
解毒に多くのエネルギーを注ぐため、本来の働きである「タンパク質合成」「胆汁合成」「有害金属や化学物質の解毒」などの力が低下します。
アルコールの分解時に活性酸素が発生し肝細胞が障害されます。
アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドには発癌性があります。二日酔いの症状もこのアセトアルデヒドが原因です。
・全身におよぼす影響
その他アルコールは筋肉量の減少や脳神経への影響などがあります。
お酒との上手な付き合い方
お酒のない生活は考えられません。ではお酒で健康を害さないためには何に気をつければいいのでしょうか?
◆飲酒量
1日の適量はビールであれば350ml缶で2本、日本酒・焼酎は1合、ウイスキーはダブル、ワインはグラス2杯とされています。
問題は純粋なアルコールの量ですので薄めても変わりません。また週に数日は休肝日を儲けましょう。
ただしこれは「肝機能が正常な人」にとっての量です。
◆何を飲むか
アルコール以上に体に悪いと思っているのが「添加物」や「人工甘味料」。これらは腸内細菌の善玉菌を減らし、悪玉菌を増やします。ただでさえアルコールが体に悪いのにわざわざ添加物や人工甘味料の入ったお酒でより健康を害してはいけません。
飲むのであればビール>発泡酒>第3(今は第4もあるのかな?)という順です。自然の製法で作られていないとうことは化学的処理がされているということを忘れないでください。
他にはサワーやカクテル類であれば食品成分表に果糖ブドウ糖液糖とか人工甘味料(横文字注意です)などが書かれているものは避けた方がいいでしょう。
赤ワインはその抗酸化力の恩恵がアルコールの毒性を上回る唯一のお酒です。ですので健康に飲むなら赤ワイン一択となってしまいます。
アルコールのカロリーや糖質は?
正直食事から入る糖質の量に比べれば微々たる問題です。
糖質オフやカロリーオフにだまされてあれこれ化学的な処理が加えられたお酒をのむのは避けましょう。
◆肝機能
結局、飲んでいい人とダメな人の差は肝機能です。血液検査やエコー検査が参考になります。AST(GOT)やALT(GPT)を見ましょう。ビタミン不足やタンパク不足などでは低めになりますので、肝臓が悪くても正常範囲に入ってしまう場合があります。
どちらかが30を超えていれば間違いなく肝臓は炎症を起こしています。また脂肪肝がある人はすでに炎症がかなり持続していると考えられます。脂肪肝は肝臓だけの話に止まりませんので要注意です。
◆休肝日を設ける
肝臓は夜間に日中に体内に入ってしまったり、体内で発生した毒性のある物質を解毒しています。アルコールの解毒にその力が使われてしまいますので解毒不十分で翌日を迎えます。できるだけ休肝日を設けて正常な解毒作業を肝臓にさせましょう。
◆肝機能アップ
肝臓の解毒力を上げる食生活やサプリメンテーションをお勧めします。とくにサプリメントは「(お酒を)飲むなら必ず飲め」です。
・大切なのはビタミンとミネラル。
アルコールの分解には分解酵素の素であるタンパク質、酵素を活性化させるビタミンB群と亜鉛、マグネシウムなどの微量ミネラルが必要です。ドラッグストアやコンビニで売られている肝機能アップドリンクは解毒酵素を活性化させる効果はありますが、ビタミン・ミネラルが不足していると解毒酵素自体が働けません。またアルコール分解で発生する活性酸素対策としてビタミンCも大切です。
ビタミンB群もCは代謝にはなくてはならないものです。お酒飲みはただでさえビタミンの無駄遣いをしているのです。
・日常の食生活はビタミン、ミネラル豊富な食事を心がけましょう。具体的には「自分で調理する」ことです。外食やすでに加工された食材からは製造過程でビタミン、ミネラルの類はごっそり抜け落ちています。肉も魚も野菜もまるのまま買ってきて、自分で包丁を入れる食事を心がけましょう。
自炊が無理な人はそれこそサプリメントをお勧めします。
これから忘年会シーズン。コロナ禍とはいえ飲酒の機会は増えると思います。
これらの知識をもって良い年を迎えてください。