
胃腸と栄養 宮本内科
昨日は福岡市医師会にて胃がん検診、大腸がん検診の新規開設医療機関向けの説明会に出席しました。
福岡市では胃がん検診にはバリウムによるレントゲン検査と胃カメラ(胃内視鏡検査)による検査があります。バリウム検診は40歳以上の方が対象です。胃カメラ検診は50歳以上の方が対象で2年に1回、偶数歳になる年度に受けることができます。当院では胃カメラによる胃がん検診を行います。
胃がん検診には画像検査に加えて血液検査で行う胃がんリスク検診というものがあります。これば胃がんになりやすい人を拾い上げる検査です。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無と胃の消化酵素ペプシンの前段階のペプシノゲンの分泌量を測定するのですが、ざっくり言うと、①胃がんの94%はピロリ菌に感染していた。②胃がんは消化酵素が出せなくなった弱った胃からたくさん発生していた。という2点の研究結果を元に、これらを測定することによって将来の胃がんへのかかりやすさを見る検査です。ちなみにピロリ菌がいなくても胃がんにならないわけではありませんが、圧倒的にピロリ菌感染者の方が胃がんになりやすいのです。福岡市では35歳と40歳になる年度の方が対象者です。ピロリ菌検査は成人になってからの感染がほとんど無いため生涯で1度検査をすれば十分と言われています。血液検査でわかるので、ぜひ受けていただきたいと思います。
大腸がん検診は2日分の便を用いた便潜血反応検査を行います。これは人の目で見えないレベルの微小な出血をとらえる検査です。がんの存在を直接見る検査ではありませんが便を採取するだけの簡単な検査です。
胃がん、大腸がんは検診で早期発見すればほぼ完治する病気ですが、受診率が少なくいまだに死亡率上位の病気です。がんで苦しむ方を一人でも減らしたいと思っています。