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血糖調節障害(かくれ低血糖)

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疾患、病態

血糖とは

血糖とは血液中に流れているグルコース(ブドウ糖)のことです。

ちなみに砂糖はグルコースとフルクトース(果糖)でできています。

お米や芋、パスタなどのでんぷんはブドウ糖がたくさん連なったものです。

 

血糖の体内での流れ

食事が消化され、腸からブドウ糖が取り込まれると血糖値が上がります。

血糖は膵臓から出るインスリンというホルモンにより細胞の中に取り込まれ、細胞の中のミトコンドリアでエネルギー(ATP:アデノシン三リン酸)に変わります。人間はこのATPで生きています。


余ったブドウ糖はインスリンの働きでグリコーゲンという物質に変わり、肝臓と筋肉に保管されます。食後2〜3時間で食事からの血糖は無くなるため、その後はこのグリコーゲンをブドウ糖に変えて血糖値を保ちます。

 

血糖の調節

血糖値の調節は血糖値を下げるインスリンと血糖値を上げるグルカゴンやコルチゾール、アドレナリンなどのホルモンで調節されています。

 

血糖調節障害とはこれらの血糖調節ホルモンの分泌がバランスを崩し、血糖値が安定しなくなることを言います。

大きく分けると機能性低血糖と夜間低血糖があります。

 

①機能性低血糖

​​

食後に血糖値が急激に低下する状態を指します。

 

食事の後に血糖値が急上昇(血糖値スパイク)して、それからインスリンが過剰に分泌されることで血糖値が下がりすぎることが原因となります。

 

図)正常な血糖の動きと機能性低血糖症の血糖の動き

 

症状

血糖値が乱高下することで以下のような症状が起こります。

  • 疲労感
    急激な血糖値の低下により、強い倦怠感が感じられることがあります。
  • めまい・頭痛
    血糖値の急激な変動によって、頭痛やめまいが生じることがあります。
  • 動悸・不安感
    心拍数の増加や不安感、パニックに似た症状が現れることがあります。
  • 発汗・手の震え
    血糖値の低下に伴い、手が震えたり、冷や汗をかくことがあります。
  • 集中力の低下
    脳のエネルギー供給が不足するため、集中力が低下し、判断力も鈍ることがあります。
  • 食後の眠気
    食後に血糖値の急激な低下により強い眠気に襲われることがあります。
  • 食後の腹痛
    血糖値が下がると血糖値をあげようとしてアドレナリンが出ます。この時に腹痛が出ることがあります。
  •  

これらの症状は食後2〜4時間以内に現れることが多く、軽度から重度まで様々な程度で現れます。

 

機能性低血糖の原因

 

機能性低血糖症の主な原因は、糖質の過剰摂取によるインスリンの過剰分泌です。特に、高GI(グリセミックインデックス)の食品を多く摂取すると、急激に血糖値が上昇し、それに続いてインスリンが大量に分泌されるため、逆に血糖値が急激に低下してしまいます。

 

また、不規則な食事(朝ごはんを抜く、過度な糖質制限など)やストレスも、食後の高血糖を引き起こし、低血糖による症状を引き起こす要因となります。

 

タンパク質の少ない食生活を続けると筋肉量が少なくなり、急激な血糖値の上昇を受け止められないことも原因の一つです。

 

②夜間低血糖

睡眠中に血糖値が異常に低下する状態を指します。この状態は、糖尿病を患っている人だけでなく、健康な人にも発生することがあります。夜間低血糖は、睡眠中に起こるため、自覚しにくいことが多く、放置すると深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。

 

夜間低血糖の症状

夜間低血糖の症状は、眠っている間に現れるため、気づきにくいことが特徴です。以下のような症状があれば低血糖が疑われます。

  • 寝汗
    体が低血糖に反応してアドレナリンを分泌するため、心拍数が増加し、異常に多く汗をかくことがあります。
  • 悪夢
    低血糖により脳が興奮状態になり、悪夢や鮮明な夢を見ることが増えます。
  • 寝言や寝相の悪化
    低血糖により無意識に寝言を言ったり、寝相が乱れることがあります。
  • 朝の疲労感や頭痛
    十分な睡眠時間を取ったにもかかわらず、朝起きた時に強い疲労感や頭痛を感じることがあります。
  • 朝食が食べれない
    血糖を上げるホルモンであるアドレナリンやグルカゴンは胃腸の動きを止めてしまうため朝ごはんが入らないことがあります。

 

夜間低血糖の原因

夜間低血糖は、さまざまな要因によって引き起こされます。主な原因としては以下が挙げられます(糖尿病患者は除く)

  • 副腎疲労
    副腎疲労により血糖値を保つコルチゾールの分泌が不十分な場合、血糖値を維持することができなくなります。
  • ミトコンドリア機能の低下
    様々な理由でミトコンドリア機能が低下するとエネルギーをうまく作れなくなります。
    必要なエネルギーを作るためにより多くのブドウ糖を燃焼する必要性があります。
    いわゆる「燃費の悪い」状態です。
  • 糖質過多
    糖質の多い食生活が続くと脂肪を燃焼する力が低下します。 すると夜間に血糖値が低下しやすくなります。
  • アルコールの摂取
    アルコールは肝臓の糖新生を抑制するため、夜間に血糖値を低下させる原因となります。
  • 激しい運動
    特に夕方や夜に行った激しい運動は、体内のグリコーゲンを消耗し、夜間の血糖値を低下させることがあります。

 

血糖調節障害の方の特徴

低血糖になると筋肉を分解してブドウ糖にする(糖新生といいます)ため、やせていて筋肉量が少ない人が多いです。
またミトコンドリアの機能が低下していたり、副腎疲労になっていたりするため慢性的な疲労感、睡眠障害をともなっていることが多くみられます。

 

血糖調節障害を疑ったら

症状に加えて血液検査が参考になります。

  • 空腹時血糖値
    空腹時の血糖値は80〜90台が理想値です。
    特に血糖値が70以下の場合は血糖調節障害の可能性があります。
  • 肝酵素(AST>ALT)
    低血糖になると筋肉を分解してブドウ糖に変えるために肝臓にあるALTという酵素がたくさん消費されます。ASTとALTを比べてALTが少ない、特にALTが一桁の場合はかなり血糖値が低く筋肉を分解していると考えられます。
  • 中性脂肪
    中性脂肪は血糖からインスリンによって合成されます。低血糖があると中性脂肪が作られなくなります。中性脂肪の理想値は100前後ですが、値が70以下の時は低血糖の可能性が考えられます。

 

もっと詳しく知りたい場合

24時間持続して血糖値をモニタリングできる機械があります。代表的なものにリブレというものがあります。Amazonなどで購入できます。

 

血糖調節障害の対策

  • 食事内容の見直し
    血糖値スパイクを引き起こすような食事をしていませんか?
    糖質過多、早食い、食物繊維が少ない、ジャンクな食事、朝食を食べないなど。
  • 補食
    空腹時の低血糖を防ぐため適切な補食をとることで低血糖を予防します。
  • ミトコンドリア機能の改善
    ミトコンドリア機能が低いと血糖値の無駄遣いが止まりません。
    食べても食べても血糖値が下がってしまいます。
    ミトコンドリアの機能を改善して燃費のいい体を作ります。
    それにはビタミンB群や鉄、マグネシウム、CoQ10といったビタミン、ミネラルが必要です。
    またミトコンドリア機能の低下を引き起こしている原因(有害金属、腸カンジダ、酸化ストレスなど)にもアプローチが必要です。
  • 慢性炎症の治療
    上咽頭炎、歯周病、腸内環境不良などが主な慢性炎症の原因です。
    これらにアプローチすることがミトコンドリア機能の改善や副腎疲労の改善に繋がり血糖値が安定化します。

 

最後に

当院には血糖調節障害により胃腸機能が低下しておなかの症状を訴えて来院される方がとても多いです。しかしながらこの病態を理解している消化器内科医は多くありません。内視鏡検査をしても異常なし、薬を飲んでも改善しないといった方は一度ご相談ください。

こちらも参考にしてください

機能性低血糖症、ミトコンドリア機能低下、副腎疲労 ~絡み合った関係~

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