栄養療法を受ける患者さんに共通している問題
機能性低血糖症
ミトコンドリア機能障害
副腎疲労
これらはそれぞれ独立して存在するのではなく、これらの要因が絡み合うことで、体調不良をより深刻なものとし、治療がなかなか進まない要因となっています。
機能性低血糖症とミトコンドリア機能
機能性低血糖症は、血糖値の急激な低下によって、身体や脳にエネルギー不足が生じる状態です。 ミトコンドリアは細胞内の「発電所」として知られ、エネルギー(ATP)を生成する重要な役割を果たしています。
血糖値が急激に低下すると、ミトコンドリアはエネルギー供給に必要なグルコースを十分に利用できなくなり、ATPの生成が滞る可能性があります。 これにより、疲労感や集中力の低下、さらには慢性的なエネルギー不足が引き起こされることがあります。
さらに、低血糖状態が頻繁に続くと、ミトコンドリア自体の機能が低下しやすくなり、細胞全体のエネルギー代謝に悪影響を及ぼす可能性があります。 ミトコンドリアの機能障害は、細胞の酸化ストレスを増加させ、炎症反応を引き起こすことがあり、これがさらに全身の健康に悪影響を及ぼすことになります。
機能性低血糖症と副腎疲労
副腎は、ストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールを分泌する器官です。 低血糖が引き起こされると、血糖値を正常範囲に戻すために、コルチゾールの分泌が促進されます。 しかし、長期間にわたり過剰なコルチゾールの分泌が続くと、副腎は疲労し、その機能が低下することがあります。これが「副腎疲労」と呼ばれる状態です。
副腎疲労が進行すると、コルチゾールの分泌が不十分になり、血糖値を安定させる能力が低下します。 これにより、機能性低血糖症の症状がさらに悪化し、疲労感や免疫力の低下、さらにはホルモンバランスの乱れなど、さまざまな健康問題が引き起こされることになります。
絡み合う悪循環
機能性低血糖症、ミトコンドリア機能障害、副腎疲労は、相互に影響を与え合い、悪循環を形成します。
血糖値の変動がミトコンドリアの機能に悪影響を与え、それがエネルギー不足を引き起こし、さらに副腎に負担をかけることで、副腎疲労が進行します。
ミトコンドリア機能が低下することが血糖値をさらに不安定にさせ、副腎疲労が進むとさらに血糖値が保てなくなります。
このように負の連鎖が進むことで体調不良と治療抵抗性が強くなるのです。
負の連鎖を断ち切るために
- 低血糖対策
とにかく血糖の安定化が改善への必須条件です。
- 運動・睡眠
適度な運動と十分な睡眠はミトコンドリア機能、副腎機能を回復させます。
運動と睡眠は「やった方が良い」ではなく推奨事項ではなく「治療に必須」なものです。
- ストレス管理
栄養療法で最も根本的な治療です。
早く良くなって仕事を頑張りたい!仕事が原因で体調を崩した場合はまた同じことを繰り返します。
転職、転居、転校、場合によっては離婚してまでもストレス源を取り除なかいといけない場合があります。
- ミトコンドリア機能のサポート
ミトコンドリアサプリメントを使用し機能の安定化を図ります。
- 副腎機能のサポート
副腎サプリを使用し血糖の安定化を図ります。
機能性低血糖症、ミトコンドリア機能、副腎疲労は、互いに密接に関連しており、総合的な対策を講じないとこの悪循環を断ち切ることはできません。