胃と心はつながっている、ストレスを感じると、胃が痛くなったり、緊張すると食欲がなくなったりする経験はありませんか?
『胃を整えると自然と不安が消えていく』(一石英一郎著)によると、胃腸の調子を整えることでメンタル安定にもつながるといいます。
実は、胃腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれるほど密接な関係を持ち、消化機能の乱れが不安感やストレスを引き起こすことが科学的にも明らかになっています。
今回は、胃を整えて心の関係と安定させるための食事についてお話します。
胃が弱ると不安が増える理由
胃の状態が悪くなると、なぜか不安を感じやすくなるのでしょうか。
その主な理由は以下の3つです。
1.胃腸とセロトニンの関係
「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、精神を安定させる神経伝達物質の一つ。
実はこのセロトニンの約90%は腸で作られているため、胃腸の状態が悪いとセロトニンの生成が減り、不安やイライラを感じやすくなります。
また、セロトニンは、分泌された後、回収されて再利用されます。セロトニントランスポーター(セロトニンを運ぶたんぱく質)が短いとセロトニンが再利用されにくく廃棄されてしまい、セロトニンの働きが弱まった結果「不安」や「神経質」になりやすくなります。
日本人の約70%はこのセロトニントランスポーターが短いタイプだと言われています。ちなみにアメリカは約18%です。
不安な状態では、胃酸が過剰に分泌されたり、胃酸に対して知覚過敏になり症状が出ている可能性があります。
心配性で神経質な日本人は「胃もたれ」や「胃がキリキリ」しやすい体質でもあります。
2.胃腸の不調が自律神経を乱す
胃が弱ると、消化器官の働きを調整する自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが崩れます。特に胃がつかれていると交感神経が優位になり、心と体が常に緊張状態が続いてしまいます。本来なら、リラックス時には副交感神経が働き、胃腸の消化を助けるのですが、そのバランスが崩れるため、不安感や焦燥感がます原因になります。
そして、この状態が続くと副腎疲労へとつながっていきます。
3.栄養不足がメンタルに影響する
胃の調子が悪くなると、栄養の吸収効率も下がります。
特にメンタルを安定させるために重要なビタミンB群(神経安定に関与)、マグネシウム(ストレス緩和・様々な回路の補酵素)、鉄分(酸素供給やエネルギー回路に必須など)などが不足すると、神経の働きが低下し、不安を感じやすくなります。
胃を整える食事ルール
胃の調子を良くするには、消化に優しい食事と、腸内環境を整える食事を意識することが大切です。
1.よく噛む
よく噛むことで唾液の中からアミラーゼという消化酵素が分泌され、胃腸の消化・吸収がより促されます。
単純に消化が良くなるだけでなく消化酵素が出ることで、胃が動き出し、身体は食物を体内に入れる準備をします。
食べれば吸収すると考えがちですが、噛まなければ栄養も十分に吸収されません。
ですから、消化・吸収スイッチを入れるためにも高カロリー飲料よりごはん、野菜ジュースよりサラダを食べてしっかり消化促進させてください。
さらに、咀嚼にはストレスを和らげる働きがあります、メジャーリーガーが試合中にガムをかむのはプレッシャーというストレスを和らげるという点で化学的にも正しいのです。
2.食べる順番を意識する
ダイエットや健康法において、おかずを先に食べるか(プロテインファースト)野菜を先に食べるか(べジファースト)議論が分かれています。
消化吸収の観点でみると「べジファースト」がおすすめ。胃腸の準備運動として野菜が適しています。取り入れた繊維は後から入ってくるインクや魚を包み込んで消化・吸収を助けてくれます。
また、歴史的に見てもべジファーストがいいことがわかります。人間が利用した最も古い野菜はレタスだと言われています。
紀元前4000年ごろのエジプトの古代遺跡の壁画にレタスと思われるレリーフが見られます。
エジプトからギリシャ、ローマに野菜が伝わった紀元前において、ローマ人はサラダを食事の締めとして食べていたといわれています。ところが、なぜか1世紀終わりには食事の最初に食べられるようになりました。
やはり、食事のウォーミングアップとして繊維を摂り、その後メインの消化・吸収もよくなるということが徐々にわかってきたのかもしれません。
料理の順番については、時代ごとに試行錯誤があり現代のフランス料理のコースの順に反映されていると考えられています。
フランス料理を参考にすれば、自然とべジファーストになります。
食事の際は、サラダなどの野菜料理や汁物から食べるのがおススメです。
3.胃の調子に合わせて食材や調理法を変える
インドでは、その日の状況や体調により香辛料を変えるそうです。
これは日本でも応用できるのではないでしょうか。その日の胃の調子で食材や調理法を変えて、負担なく体調に合わせてメニューを考える工夫です。
例えば、胃に負担のかかる塩分は控えめにして、出し汁やポン酢で味付けをする。脂の多い魚(さば、あじ、ぶり、マグロのトロ、いわしなど)や肉(豚バラ、豚ロース、牛カルビ、牛ひき肉、ベーコン)は避けたり、どうしても食べたいときはしゃぶしゃぶにして脂を落としてから食べる。
脂溶性ビタミンであるビタミンⅮやリコピンを一緒にとって、油の吸収をよくするといった工夫ができます。
4.良質な油を摂取する
胃腸の粘膜を守るためには、良質な資質を摂ることも大切です。特にオメガ3脂肪酸は、胃の炎症を抑える効果も期待できます。
亜麻仁油やえごま油(オメガ3脂肪酸豊富)、オリーブオイル(抗酸化作用)、青魚(サバ・イワシなど/EPA・DHAが胃の働きを助ける)を意識的に摂りましょう。おすすめは、汁物やサラダなどにかけるだけでいい「えごま油」です♪
5.小麦や砂糖を控える
グルテン(小麦)や精製された砂糖は腸内の悪玉菌を増やし、胃腸の調子を乱しやすくなります。これらを減らすことで、胃が軽くなり、不安感も減少しやすくなります。朝は毎食パン派の方も、ぜひごはんの日を増やしてみて下さい。
胃の健康を守る生活習慣
1.食べ過ぎない(腹八分を意識)
胃に負担をかけすぎると、消化が追い付かず、胃の働きが低下します。腹八分を意識することで、胃の健康を守りやすくなります。
2.夜遅くの食事を控える
夜遅くに食べすぎると、胃が休む時間がなくなり、消化機能が低下します。寝る3時間前までに食事を終えることを意識しましょう。
3.適度な運動で胃腸の働きをサポート
適度な運動は自律神経を整え、胃腸の働きを活発にします。
おススメの運動をできる範囲から始めてみましょう。
・ウォーキング(30分程度)
・ヨガやストレッチ(消化を助けるポーズも◎)
・軽い筋トレ(代謝アップで胃腸の働きを促進)
4.ストレス溜めない工夫をする
ストレスがたまると、胃酸の分泌が乱れたり、胃の働きが低下したりします。
おすすめのストレス対策
・深呼吸・瞑想(副交感神経を優位にする)
・アロマセラピー(ラベンダーやカモミールがリラックス効果◎)
・趣味の時間を確保(好きなことをする時間が心を安定させる)
胃の調子を整えることで、メンタルの安定にもつながります。
何だか胃腸の調子もよくないし、なぜか不安なことをグルグル考えている、という方は、これなら出来るかも!と思うところから実践してみて下さい。
「胃から整える」健康習慣を始めてみましょう!
今回は、「胃」を整えると自然と「不安」が消えていく(一石英一郎著)という本を参考にしました。
更に深く胃とメンタル、食事について知りたい方は是非一度読んでみて下さい!
宮本内科胃腸栄養クリニック 管理栄養士🍴